プティット・ヴェニスに面して建つホテル、ル・マルシェル。
地球の歩き方でも、コルマールのおすすめとして推されていたホテルだ。

ロマンチックな雰囲気がハネムーンにぴったり、と紹介されていたこともあり
躊躇していたけれど、二度とない機会だからとメールで予約を入れておいた。

今回学んだのは、ヨーロッパでは宿泊費に食事が含まれていないということ。
業界では常識なのだろうけれど、日本で一般的な1泊2食付というプランは
ハーフ・ペンションといい、事前に別途申し込む必要があった。
海外のホテルは情報も少なく不安だったので、ハーフ・ペンションへの変更や
荷物を朝から預かって貰えるか等、何回もメールを送ったんだけど
ホテルの応対がとても親切だったおかげで、安心して利用することができた。

男一人なのに生意気にもプティット・ヴェニス側の部屋にして欲しいとお願いしてあったのだが
これが予想以上に居心地のいい部屋で本当にありがたい。

アメニティがロクシタンでちょっと嬉しい。

時間になったのでレストランに向かおう。
ホテル内のレストランなので気にしてなかったが、正装でないことが不安になり
ウェイトレスに「これで大丈夫ですか?」と尋ねると、笑って「OKOK!」
席に着くと、今回の旅で最高のディナーが始まった。
サンドイッチばかりだったので、きちんとした食事がようやく食べられる。
はじめに、ソムリエが食前酒(Apéritif)を薦めてくる。
メニューを見ても銘柄など解からないので、地球の歩き方で薦められていた
ミュスカ(Muscat)というワインをオーダーしてみた。
ミュスカは辛口のワインだったが、甘口の方が好きかもしれない。
ワインの味はわからないけれど、幸せな気分になるね。
フォーマルなフランス料理はこれがほとんど初めて。
いきなり本場だと、やたらと緊張するなぁ。

最初にアペタイザーが出てきて、スープ、フォアグラのテリーヌが登場。
フォアグラが出てくるとは思わなかったが、よくよく考えてみればアルザスの名産。
このフォアグラが、ほっぺたが落ちるほどおいしい!
フォアグラってこんなにおいしいものなのね。
でもちょっと量が多いかな・・・、胃もたれしそうだ。

次に出てきたのは白身魚のソテー。
これがまた、おいしい。
香ばしい皮とホクホクの身、それにソースが本当においしい。
パンで残らず掬って食べた。

次は牛タンのソテー。
赤ワインの風味が香るソテーはとても柔らかく、牛タンの旨味が噛むほどにぎゅっと染み出る。
付け合わせも口直しにぴったりだ。
どの料理も品がよく、とてもおいしかった。
最後を除いては・・・
最後の〆は当然デザートだろう。
最初のフォアグラの余波がまだ残っていて、甘い物が食べたくてしようがなかった。
ウェイトレスさんが「Desert or Cheese?」と尋ねてくる。
実は、この日はずっとチーズケーキが食べたい気分だったのだ。
迷わず「Cheese Please!」と答えた。

チーズが出てきた!
確かに「デザートかチーズか?」と聞けば、チーズケーキではないよね。
心底びっくりしたけど、何とか落ち着きを取り戻しチーズを口に含む。
なんか凄いよ、このチーズ!
畜舎の噎せ返るような糞尿の臭気を数倍に濃縮したような臭いが
つんとした刺激を伴って鼻孔を抜けてゆく。
息を止めて、添えてあったケチャップとハーブで誤魔化しながら何とか完食。
でも食事の〆のチーズ、フランス人にはたまらないということで
あそこでのオーダーミスは後から思い返せば良かったのかもしれない。
日本から入浴剤を持ってきたのに、バスタブが無かったのは残念だけど
シャワーでさっぱりと汗を流し、心地よいベッドでよく眠ることができた。
懸案事項だった携帯とデジカメの充電も、ここでしっかりできた。

翌朝は、夜が明けると同時に目覚めた。
朝を告げる小鳥のさえずりは、日本のそれと変わらない。
違うのは、黎明の蒼に浮かぶ建物のシルエットくらいだ。

昨日と同じレストランでの朝食。

昨晩は気付かなかったが、窓にはまっている手延べ硝子を通して見る波打つ朝のプティット・ヴェニスはとても美しい。

焼き立てのバターロールやクロワッサン、バタージャムなど種類豊富なジャム
生ハム、チーズ、卵、牛乳、ジュース、フルーツポンチ、どれもとてもおいしそう。

パンと生ハムが心底おいしくて、何回かおかわりをする。
思い出に残る、素敵な宿になった。

会計はやはりクレジット決済。
宿泊費にディナーと食前酒、朝食で〆て154ユーロ(約18,000円)
これだけのディナーが付き、シングルでこの値段はなんと良心的なんだろうか。
何よりホテルの雰囲気と立地が素晴らしい。
宣伝のような記事になってしまったけれど、本当におすすめね。
いつかまた、訪れたい。
続く。
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