欧州一人旅 旅立ち篇

久しぶりに、まとまった連休が取れることになった。
さて、どうやって使おうか・・・

大学生以来の北海道ツーリング?
11月末だしもう寒いよね。野営なんて本当に寒そう。

じゃあ台湾に行こうか?
悪くないけど、もっと・・・

もっともっと遠くへ
行ってしまいたい!

いつかは行ってみたいと思い続けていた場所。
ヨーロッパ。

唯一行ったことのある海外、台湾は民族も文化も日本と通ずる部分があったけど
ヨーロッパのそれは日本とはまったく異なる。

英語も喋れない。第二外国語のドイツ語も当然忘れた。
でも、このチャンスを逃せば行くのはずいぶん先になるかもしれない。

うん、思い切って行ってしまおう!
きっと、どうにかなるさ。

行き当たりばったりでも何とかなるもんだとも思うけれど
やはり知らない土地を旅する上で、情報は最重要だ。
一人旅で頼れる物は、確かな情報・・・・・だと前回学んだ。
これがあると無いとでは精神的余裕がまったく違うし、何より無いと旅を楽しめない。

と言うことで、事前に情報収集だけはしておかなきゃならない。
最低でも、泊まる場所だけは確約しておきたい。

こうして、毎晩情報収集し作った旅ノートと地球の歩き方フランス版を
バックパックに詰め込んで、まだ夜が明けない早朝に家を出た。

通勤客でいっぱいの列車に揺られているせいか、海外に行く実感なんて皆無。
スケールの大きい旅ほど、そういう感覚を覚えるのはなんだろう。

成田に近づくに連れ、スーツケースを携えた人が多くなってきたけれど
不安も期待も感じず、出勤するのと変わらぬ感覚で空港まで来てしまった。

とりあえず荷物を預け、最後の日本食にとお茶漬けを食べる。
とてもおいしいお茶漬けだった。

今回の航空会社は、たまたま航空券が安かったドイツのルフトハンザ航空。

ヨーロッパを往復するのに10万を切る時代になったことに感謝!
今回背中を押したのは、この金額の影響もだいぶ大きい。

それにしても、これが地球を半周してヨーロッパに連れていってくれるのだな
と思うと、子供のようにまじまじと機体を眺めてしまう。

エンジンのローターについてる「の」の字が可愛いじゃない。

シートはレカロ製だけど、決して座り心地は良くなく
最近では付いていることの多いシートモニターもない。

さて離陸だ。ヨーロッパ航路は、成田から北西に針路を取るかと思っていたので
成田から北へ向かって飛び始めた時には、驚きを隠せなかった。

やがて、北海道をかすめオホーツク海上空へと飛び出すと、いよいよロシア領空へ。

「本日は、予定より北を取るルートで飛行して参ります」

機長のアナウンスが入る。

1フライト1万ドルと言われる領空通過料もチケット代の中に含まれてるのかな・・・
なんて思いながら、窓の方・・・を見て過ごす。

窓際の席ではないので、窓の外を見るためには寝ている隣の人を起こして席を離れなければならない。
気持ちよさそうに寝ているので我慢していたけれど、シベリアあたりでいよいよ我慢できなくなり席を立った。

え!
凄いことになっちゃってる!

凄いとしか言いようがない。
一面、氷の世界。

途方もない広さだ・・・
絶望的とも言える。

これでもかと蛇行した川が縺れ合い氷面に陰陽を作っている。

エスキモー、住んでるのかな?
地表はどうなってるんだろ?

興味が尽きない。
でもいまいち、現実味もない。

期待してた機内食は、残念ながらお世辞にもおいしくはない。

こんなのってなかなかないよな、と
シベリア上空でかっぱ巻きを食べながら、ふいに一人で可笑しくなった。

気づけば機内は照明が落とされ、周りには就寝している人が目立つ。
ヨーロッパ線って、もっとフォーマルな場かと思っていたけれど
それこそ、意外と夜行高速バスやムーンライトながらのような庶民的な雰囲気だ。

好奇心も手伝って、ここまでずっと起きていたけど
スパークリングワインでいい気分になり、少し仮眠することにした。

起きると、機体はシベリアを抜けノヴァヤゼムリャ北端を飛んでいた。

人類史上最強と言われる核兵器ツァーリ・ボンバに代表される
戦後ソビエトから現在のロシアに至るまでの、数々の核実験の舞台となった島。
まさかここを通過するとは思わなかった。
雲で何にも見えないけど、北周り北寄りルート万歳だ!

長い空の旅も終盤、フランクフルト空港が近づいてきた。
アジアとは明らかに異なる大地が、緑の絨毯が、街並みが眼下に広がる。

どうしようか。
気分的には、まだ成田のままなのに。

遂に、来てしまった・・・

続く。

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