昨日は不気味に感じたこの道も、打って変わって幻想的ですらある。
左方を見ると、根室海峡を挟んですぐそこに国後島の島影が見えた。
思っていた以上に近い。
雲ひとつない空の下、原生花園の中の直線道を行く。
オンシーズンは馬車に乗ってトドワラまで行くことができる。
歩くこと15分、
馬車の折り返し地点を過ぎると視界が開け、トドワラをすぐそこに望むことができる。
木道に上がると遮ってくれていた草木が無くなり、強い海風をもろに浴びる。
一体ここは日本なんだろうか。
最低限だが、色彩も充分な明るさもあるのに
どこまでも荒涼としていて、寂莫とした風景だ。
どこか違う星に降り立ったかのような、圧倒的な孤独感に興奮を覚える。
鳥肌が立つほどの寂寥感。
これだからひとり旅は止められないよ。
ドトワラに、北海道を旅する答えを見た気がした。
標津線の跡を丁寧に一駅一駅巡りながら次へと向かう。
丘陵をアップダウンする道を快走し、高台へ駆け上がると
そこがライダーの間であまりにも有名な開陽台。
素晴らしい展望なのだけど、トドワラに魅了された後だと感激が薄い。
寂寥感がないからだな、きっと。
牧場直売のソフトクリームが最高だった!
開陽台と言えば、北19号だ。
この日は、タイミング悪く工事中・・・
このあたりは、北19号に限らずこういうスケールの道だらけだ。
予定に無かった裏摩周展望台へ舵を切る。
しかし、裏摩周展望台からの摩周湖は、木々で展望が利かず・・・
それより、森林地帯を突っ切る途中の道と広大な牧草地に心を打たれ
この牧草地で、しばらく昼寝をすることにした。
エンジンを切り窓を開放、シートをフラットにして横になると
鳥のさえずりしか聞こえず、最高の昼寝タイム。
なるほど確かに土地柄そこらじゅう牛だらけだけど、牛愛が伝わってくる。
隣の摩周駅(旧弟子屈駅)とともに、摩周湖、屈斜路湖の玄関口となる川湯温泉駅。
昭和初期に建てられたというログハウス駅舎がなんとも素敵ね。
しばらくするとタイミングよく、網走行きの単行気動車がやってきた。
仮にも本線と銘打つ釧網本線でもこの輸送密度では、維持管理もたいへんなことだろう。
いつまでも残って欲しいので、鉄道旅で応援しないといけないな。
この駅にもオーチャード・グラスというレストランが併設されている。
扉を開くと、香ばしい珈琲の香りとシナモン色、緩やかな雰囲気に包まれた。
名物であるビーフシチューは、評判に違わない極上の味。
これだけを食べに、またこちらに赴きたい。
裏摩周展望台からの眺望が不発に終わったので
さほどの期待をせずに、摩周第一展望台と摩周第三展望台へ行ってみると、
度肝を抜かれた。
目の前に広がるカルデラ湖に、風波が波紋を作り出して表情を変える。
翻って背後を望めば、向こうにはアトサヌプリ、そして屈斜路湖を遠望。
とんでもないスケールだ、道東は。
前情報なく、屈斜路湖もそれなりに観光地化されてるいるのかと思ったら自然のままなのね。
その俗化されていない湖畔の一角にコタン温泉がある。
観光客が去って、すっかり貸切状態になったところでいざ入浴!
ちょっとぬるいけど、このロケーションは最高だ。
くるぶしあたりまでの衝立で男湯と女湯が仕切られているが、実質混浴だね。
時おり、観光客が見物(入らない)に来るので、隅で小さくなってやり過ごした。
近くの民芸店の方が管理するこの露天風呂。
ありがたいことに24時間、無料で提供されている。
ここからは、美幌峠を越えて網走へ。
宿に荷物を置いてから、ネットで調べた食事処いしざわに向かうべく夜の町に出た。
一見、場末のラーメン屋に見え敷居が高い。
意を決して入ってみるとカウンターのみの店内は賑わっており
席に座ると、女将さんに旬の料理をいろいろおすすめされた。
特に、まさに今が旬のハラスとハモが絶品。しかも安い。
隣の観光客や、常連のおばちゃんと話していたらすっかり気分がよくなってしまった。
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