地の果てるところ・シリエトク 前篇

雲海を抜けると、眼下に波打つ緑の丘陵地帯が広がった。
葉脈のように巡る道路に、ケシ粒のような車が流れる。

のっけから、忘れ掛けていた北海道のスケールの違いを見せつけられる。

本当なら北海道はバイクで周りたいところだが、時間が許さなかった。
仕方がないので今回は、女満別空港からレンタカーで道東を巡る旅。
ひとり旅なので、心置きなく好きなところへ。

まずは釧網本線の藻琴駅。

この駅には、DMV(ディアル・モード・ビークル)のインターチェンジがあるのだが
完全にチェックし忘れ、撮影し忘れた。

そして隣駅、北浜駅。

中国のドラマ、非誠勿擾(邦題:狙った恋の落とし方。)の舞台になったようで
行政もそれで売り出しているらしく、中国人ツアー客がたくさん訪れていた。

この辺りの駅には、駅舎にレストランや喫茶店が併設されている。
まず最初のお目当ては、北浜駅併設の喫茶停車場の名物ホタテカレーだ。
大ぶりのホタテは最高においしく、何より皿までホタテなのがいいね。

知床国道から脇道に入ると、しばらく丘を登ったところに木造の展望台がある。
ここが次のお目当てだ。

ここから、来た道を振り返ると・・・

地平線まで続く道。

穴場スポット、近くを通った際はぜひ。
有名な開陽台の北19号より個人的には素敵なんじゃないかなと思っている。

いろいろ寄り道をしているので、午後も既に15時前。
陽が傾いてきたのに目指す知床五胡はまだ先だ。

というのに、オシンコシンの滝、そしてウトロの港にも寄り道。
しかも、ついさっきホタテカレーを食べたばかりにも関わらず
ウトロ漁協婦人部食堂の鮭親子丼は外せない。
何より、婦人部食堂という語呂合わせにいたく心惹かれるではないの。

鮭親子丼(1600円)

満腹時でちょうどいい大きさの丼は、ほぐし身の鮭もイクラも本土では味わえない濃厚さで満足した。

ウトロを出てしばらく走ると、羅臼へ向かう知床横断道路と別れ
知床五胡へ向かって予想以上に急峻な知床半島の山懐へ分け入る。

知床半島は、世界でも有数のヒグマ高密度生息地帯だ。
しかも半島自体が世界遺産に認定され、観光客が押し寄せる。

クマというと愛らしいというイメージが先行しがちだが、実際はそんなことなく
ことヒグマに関しては、個人的にはただただ恐怖の対象でしかない。
その恐ろしさは、開拓集落が襲われ国内で最悪の獣害となった三毛別羆事件や
カムイエクウチカウシ山での福岡大ワンゲル部ヒグマ襲撃事件を見ると、十二分に理解できる。

恐怖感を持っているため、旅立つ前にクマよけの鈴を調達。

数日前まで、ヒグマが出没し二湖までの立入規制が掛かっていた知床五胡。
観光客は多かったが、クマよけの鈴を付けてる人はほとんどいなかった。

風景に見惚れながら五胡の木道を散策していると、エゾシカが登場!
人慣れしているのか、人がいてもお構いなしに草を食んでいる。

ここ知床は、観光客も多いけれどエゾジカも本当に多く
至るところで見掛けるので、すっかりありがたみが無くなってしまった(笑)

遊歩道からのオホーツク海

高台から湖を眺められる電気柵完備の遊歩道が設けられていて
試しに歩いてみたけど、かなり長くて途中で引き返してしまった。

カムイワッカ湯の滝方面への林道は、シーズンを過ぎて通行止になっていた。
このゲートも目当てだったので実際にこの目で見れて満足だ。

知床五胡を後にし、知床横断道路との分岐まで戻る途中にぽつんと1件だけ建物があった。

知床岩尾別ユースホステル

凄いとこにあるものだな、と思えば今度は、

←ホテル地の涯

という看板が。
このネーミングよ。

知床横断道路を10キロほど進むと、知床峠に到着。
やはり標高が高いせいか肌寒い。

そこまでの最果て感はないけれど、感慨深いものはある。

知床=シリエトク
アイヌ語で「地の果てるところ」

地の果てのその先には、国後島の島影が見えた。

写真は通りかかった秘境駅、釧網本線南斜里駅。
周りには畑しかなく、停車する列車も1日数本しかない。

本日の宿は、清里イーハトーヴユースホステル。

ユースホステルのドミトリーには自分一人だけ。
荷物を置いて、紹介された清里町の居酒屋まで車で食事へ。
ユースホステルの紹介だと言ったら、特別メニューを作ってくれた。
食事の写真ばかりだけど、やっぱりここでもイクラ丼。

とてもおいしかった。

続く。

2020年現在、知床岩尾別ユースホステルは無期限休館中です。

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