Trip 1098.3

出来るだけエネルギーを温存しながら粛々と仕事をこなし、帰宅したのは23時。
軽い疲労を感じながら、食事、風呂を済ませ、時計に目をやると既に出発時刻。

出発、0時17分。
長い長い1日が、幕を開けた。

八王子から中央道を信州へ。
何度通っても、西行きの中央道はいいね。

松本、3時30分着。

夜の国道158号を追い立てられるように安房まで駆け上がり、トンネルを抜け岐阜入り。

それにしても半端なく寒い。
電光表示板には凍結注意、気温0度。そりゃ寒いわけだ。
路面がうっすら濡れ、凍結してそうで肝を冷やす。
冬装備じゃなかったら、完全に引き返していた。

寒さと闘いながら平湯から神岡を目指す途中で、ようやく夜が明け始めた。

神岡、4時30分。

国道41号を神通川に沿って富山入り。
休憩なしでここまできたけれど、何よりも寒さは体力を消耗する。
温泉を探しさまよったがこの時間ではどこもやってなく、ぐったりしながらすき家で朝食。

このままとんぼ帰りして寝たいという欲求が支配していたけれど
暖かい場所で休んだら少しずつモチベーションが上がってきた。

高岡を通り過ぎ、氷見へ。

氷見、7時00分。

ここで予定を組み直し、能登半島一周という当初の計画から
大学の時にツーリングで訪れた思い出深い輪島へ目的地を変更。
能登半島は広すぎる!

能登半島を横断する形で羽咋へ向かう。

原発で有名な志賀を越したあたりから、能登の明媚さが散見されるようになり
ああそうだ、この雰囲気だったなぁと、気持ちも再度盛り上がってきた。
前回と違うのは、さきの地震の爪痕。
道を走ってるだけで、そこここに垣間見える。

ようやくナビと呼べるようになった「Maplus2」が今回の旅の同行者。
スロットの裏に貼ったマジックテープでPSPを固定していたのがそもそもの間違いで
ステーから取り外す際にスロット蓋ごと外れ、メモリースティック起動専用のマニアック仕様に。

案内品質がよろしくないものの、知らない土地では重宝する。

やってきました、懐かしい皆月海岸。
前回訪れた時は、ここの青少年旅行村キャンプ場で野営したんだ。
野犬か何か得体の知れない生物に、山崎のロシアパンを強奪された恐怖体験も蘇った。

能登地方の集落は、屋根瓦が黒い(能登瓦というらしい)
藍染の剣道着のような、きりりとした凛々しさがあって好きだ。

切り妻の黒屋根が、肩を寄せ合うようにして立ち並ぶ様を見ていると
厳しい能登の冬、吹き付ける雪の中佇む集落の情景が脳裏に浮かぶ。
間垣を含め、冬の奥能登には日本の原風景が残っている。

五十州(いぎす)バス停。
心引かれて止まなかったローカル路線、北鉄奥能登バス皆月線の終点だ。

この五十州といい、この辺りには能登らしい魅力溢れた難読地名が多い。
百成大角間(どうみきおおかくま)なんて、絶対に読めない。

皆月への道の途中から分かれる県道38号輪島浦上線こそ、能登の魅力の結晶だと思う。

その入口ほどなくにある男女滝の傍らに学校の廃墟があるのを前回チェックしており
本日寄ることを楽しみにしていたのだけれど、取り壊されていたー!

西二又小学校。
いい雰囲気だったのに残念だ。

入り江の奥に佇む上大沢の集落を過ぎると、景観は一気に変わり
道は海沿いの隘路となって頼りなく海に落ちる斜面を辿る。

そんなこの道も、地域にとっては重要な生活の要。
海沿いに点在する集落を、輪島からの路線バスが繋ぐ。

天候や海流によって違うんだろうけど、太平洋とは明らかに異なる海の色。
沈んだ鉛色のイメージが強い日本海だけど、今日はこんなに清清しい。

軒より高い竹の垣根が家々を覆う。外浦に多く見られる間垣(まがき)の集落。
特に、この大沢と上大沢では立派な間垣を見ることができる。

冬の凍てる風雪を受け止め、夏の暑い日差しを遮る能登人の知恵だ。

時間の余裕がなくなってきたので、そろそろ折り返し来た道を戻らなきゃ。
西保小学校を、今回のツーリングの最終目的地ということにしよう。

さあ、気の遠くなるような帰り道が始まった。

志賀から羽咋に掛けて、道路端にサイクリングロードが併走しているのに気づく。
この感じ、怪しい・・・

案の定、1972年に廃止になった北陸鉄道能登線の廃線跡でした。

往路をピストンは変化がない。親不知、白馬経由で帰ることにした。

行く手に白き衣をまとった白馬連峰が聳え立つ

糸魚川からは、国道148号を南下。
向かう山を前に、心が引き締まる思いがするのも、この道が好きな理由だろう。

更埴に向かう途中、信州新町で日が暮れる。

この辺りの風景は、素晴らしいと思う。
特筆すべきは、街灯が白熱灯なこと。
茜色の空の下、暖かく光る灯りはそれだけで郷愁を誘う。

路肩にバイクを停めエンジンを切ってはじめて、蛙の大合唱に気づいた。
のんびり、安全運転で帰ろう。

そして、23時04分、無事帰宅。
新記録達成だ!

総走行距離:1098.3キロ

  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする