駿河海岸線ツーリング 前篇

駿河湾沿岸に沿って点在する見どころを巡るツーリングの一発目は
昭和19年に切り替えられた東海道本線旧線の石部トンネルだ。

国道脇からロープを伝いながら急斜面を降りると海岸に出た。
探すまでもなく、半ば瓦解した石部トンネルは足元にその一部を飛散させていた。

煉瓦積みのポータルが無造作に横たわる光景に、シュルレアリスムを感じる。

大波が来るたびに足元を浚われ、崩落は現在進行形のようだ。

内部へのアプローチも試み、最奥部まで行ってみたが大した収穫はなかった。
ちなみに入口付近にはゴミが堆積し、姿こそ見えないが人の営みを確信した。
ここは、外から眺めるだけにしておくことをおすすめしたい。

カゼノトにも何度か登場している天険断崖の親不知にその北端を発する
糸魚川静岡構造線(糸静線)の南端は、この大崩海岸だとされている。

日本列島を縦断してきた大断層に伴なう山塊が駿河湾に落ち込むその様子は
なるほど、東海の親不知と呼ばれた難所だけあって確かに親不知に似ている。

写真のようなスケールの瓦礫をすり抜けて、海岸伝いに石部海上橋へ向かう。

石部海上橋は書いて時の如く、大きく海上へ迂回したこの海岸随一の見どころだ。
そう、石部洞門を迂回している。

優美な曲線を描く海上橋とは対照的過ぎる、極めてストイックな旧道を。

藪を漕いで、いま洞門へ!

今にも爆ぜてしまいそうな縦方向の強い外力による柱の圧潰具合。

そりゃそうである。
洞門の上に土砂というより、崖の一部がこんもりと乗っかっている。

ずいぶんと昔の落書きが壁面に残っていた。

洞門を出ると、土砂崩れで先に進めなくなっている。

昭和47年7月、この場所で大規模な崩落があり青年が命を落とす事故が発生。
それまでも大崩の名の通り、崩落と修復を繰り返してきた脆い岩崖はこの時
洞門の設計強度を大幅に超える崩落を起こし、洞門と乗用車を一気に圧し潰した。

この事故を期に、道を山腹に通すことを諦め海の上に逃げた、というわけだ。
そういう経緯があり、この場所は心霊スポットとしても有名らしい。

海に落ちないように!

秘境中の秘境
山道がスリル満点、落ちないように!

難所の大崩海岸を越え、やってきたのは東海道の宿場町、鞠子宿。
ここにとろろ汁の老舗、丁子屋がある。

丸子(1300円)

定食は何種類もあったけど、ここは元祖とろろ汁である丸子を頼んだ。

お櫃で出された麦飯が、素朴な味のとろろ汁で進むことこの上なし。
たらふく食べてしまったよ。

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