錦秋の東北大陸へ 前篇

寒風山はその名に違わず、風が強かった。
ここまで来ると、ようやく遠くに来たという実感が沸いてくる。

最後の最後まで台湾行きと迷い倒した挙句、直前に決まった東北ソロツーリング。
宿も決めて無ければ、ルートもぼんやりとしか決められず決行することになった。

この時期の東北だと積雪こそないだろうけれど、相当寒いだろうと予想し
防寒性抜群のヒットエアーの冬用ジャケットを友人から借りておいた。
バイクから投げ出された時に、エアバックが発動するという優れものだ。

何はともあれ、東北道を北上しないとね。

宇都宮と言えば餃子、餃子と言えば宇都宮。
上河内サービスエリアにある市内有名店の餃子食べられる粋な店、宇都宮餃子広場では
みんみん(240円)と松本楼(270円)をチョイス。
どちらも美味しかったけれど、皮は松本楼、具はみんみんの方が好みね。
中身を入れ替えればきっと最高になる、うん。

本日の着地点を花巻に設定、花巻ならの里ユースホステルに電話を入れるも休み。
それなら仕方ないと、今回で4度目になる毛越寺ユースホステルに予約を入れる。

永遠と走り続け、やっとのこと一関インターで東北道を降りた。
さすがにぐったり。

ユースホステルは基本相部屋なので他の旅人と一緒になるわけだけど、それが醍醐味でもある。
今回は、東北を回ってきたというおじいさんチャリダー、車で東北を回ってきたおじさん
北を目指すおじさんライダーと一緒になった。これだけ集まれば、当然情報交換が始まる。
車のおじさんが、八甲田の紅葉が凄かったと繰り返し熱弁するので、期待が高まってくる。
おじさんライダーも触発されたようで、明日は十和田湖から八甲田入りするとのこと。

その後近くの日帰り温泉に行こうとすると、台湾から来たという姉妹と一緒に行く流れになった。
日本語が堪能なので聞いてみると、日本が好きで毎年こうして各地を巡っているんだって。
別れ際にアドレス交換をし、甘く煮た台湾のお粥の缶詰を貰った。ありがとう!

翌日は、予定通り日本海側から北東北入りすることに。紅葉は後の楽しみにしておこう。
長い間連れ添った東北道とも北上JCTでお別れ。ここからは一路秋田を目指すのだ。

そしてやってきた男鹿半島。
寒風山からの景色は素晴らしく感動したなぁ。

寿司いっぱいランチ(1000円)は本当にお寿司がいっぱい!

日本第二位の大きさを誇った八郎潟は、米の増産を目的に干拓され広大な田園になった。
その脇を通り過ぎ、いよいよ五能線の出発地、能代の町までやってきた。

まずは腹ごなしと携帯で検索したところ、尾張屋という寿司屋がなかなか良さそう。
寿司いっぱいランチはとてもおいしく、味噌汁に至るまでおいしかった。

本日の宿泊地は、黄金崎不老ふ死温泉にしようと電話を掛けたが満室だった。

キャンセルが出てるかと思ったのだけど、一度は泊まりたい宿として人気があるからね。
宿は、適当に飛び込みで行くことにしようっと。

ここから先は、五能線と一緒に国道101号で日本海をぐるりと巡る。
集落をガーター橋でパスする小入川橋梁。

日本海を抱いた五能線沿いの雄大な景色。

夕日で有名な五能線。夕方近くなり、いよいよ日が傾きだした。

国道から逸れて伸びる脇道が気になり、引き返して進んだ先にあったチゴキ崎灯台。
ここからの落日はきっと素晴らしいに違いない。

通り過ぎた列車には、乗客がヒトリも乗っていなかった。

茜色に染まり始めた海岸線を北上。
走っている右側が白神山地なんだな、と少し感慨深くなりながら進む。
時間があれば十二湖巡りをしたかったんだけど、不老ふ死温泉に入りたいので先を急ごう。

けれど、少し進んでは素晴らしい景色に出会い停車、また進むの繰り返しで遅々として進まず(笑)

そんなことをしているもんだから、不老ふ死温泉の外来入浴に間に合わなかったんだ。
着いたのは16時05分、たったの5分超過!
悔しいので、写真だけは撮りまくってきたよ。

さすが人気宿だけあって宿泊客は多い。
秘境の宿という勝手な妄想があったので、ちょっとイメージと違ったな。

ただ、やっぱり夕焼けだけは申し分無かった。
一日の終わりを飾るのに相応しい、情熱的な日の入りだ。

こうしている場合じゃない。早く今夜の宿を決めないと真っ暗になってしまう。
次の町、深浦に的を絞って宿を探すが情報が少ないのでわからない。
日が暮れて、まだ宿が決まっていないっていうのは心細いものだね。

取り敢えずは、深浦まで行ってみて決めることにしよう。

深浦は想像していたより大きく、港も整備されていてきれいな町だった。
もっと鄙びた漁村かと思っていた。そうであって欲しかった。

観光案内所でおすすめの宿を聞き、窓口氏を「それはボクの口からは・・・」と困らせてしまったが
結局、町でいちばん大きな深浦観光ホテルに投宿。

ツーリング史上最も豪華な宿となったけど、遠くに潮騒を聴きながらの露天風呂、
飾らないながらも地の特産を使った美味しい部屋食と、たまにはこんなのもいいよね。

町のストアで買い込んだニッカシードルでいい気分になり、明日に思いを馳せながら眠りについた。

続く。

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