錦秋の東北大陸へ 中篇

深浦観光ホテルを後にし、五能線に沿ってツーリングは続く。

海沿いの集落を繋ぐように通る国道101号は、やがて奥入瀬ならぬ追良瀬の集落を遠巻きにし
個人的に楽しみにしていた驫木の集落へと下ってゆく。

五能線の中でも随一の旅情駅、驫木(とどろき)駅。
バイパス工事中らしく、交通量が比較的多い駅前の国道と法面は少し残念。

しかし反対側に目を向ければ、荒涼とした風景に溶け込む味わい深い駅舎。
そして、何冊もの駅ノートに綴られた熱い想いにこの駅の魅力を再確認する。

ひとしきり写真を撮った後は、何も考えずホームでしばらくボーッとしてみる。
風の音と波の音。ただそれだけ。

馬とパチリ

ツーリングマップルには、鰺ヶ沢の通称「焼きいか通り」の焼きいかがうまい!と書いてあり
内心楽しみにしていたが、朝早すぎてまだ開いておらず。

鰺ヶ沢からは内陸へ舵を切り、津軽富士と称される岩木山の周遊道路へ。

この辺りはどこを見てもりんごりんご、りんごだらけ。どれも赤くたわわに実っておいしそうだ。
りんごを満載したトラックとしょっちゅうすれ違う。秋の恵みの収穫真っ盛りだ。

弘前、田舎館、黒石と通り抜け、いよいよ期待が高まる八甲田へ向けて標高を上げてゆく。
緑だった辺りの木々は、だんだんと黄色味を増し、グラデーションを描く。
さらに標高を上げるとまた緑へと移り変わり、真正面の八甲田山は紅葉が終わり緑一色。
先日までは八甲田山が錦に染まっていたらしく、この数日でかなり降りてきたようだ。

山頂に見える小さな白い建物が、八甲田ロープウェー山頂公園駅。
よし、まずはあそこを目指そう!

走り出してしばらくで道路が渋滞しているポイントが城ヶ倉大橋。
谷底からの高さは122m。
スリリングな橋の中央に立つと、八甲田の紅葉が眩しいほどだ。

紅葉と同じ色の味噌こんにゃく(200円)

この雄大な景色をおかずに味噌こんにゃくをぱくり!

紅葉真っ盛りの木立の中を走るのは爽快そのもの。
バイクに乗っていてよかったと思う瞬間だ。

八甲田ロープウェーは大盛況。
満員御礼のゴンドラに乗り込むと、音もなくスルスルと滑り出す。

視界が開け、錦の絨毯、その先には青森の市街地と津軽湾が広がりお客さんから思わず歓声が漏れる。

気温は4度!

山頂公園駅に降り立つと、下よりかなり冷え込む。
ここまで来ると、ダケカンバの白い樹皮が映える針葉樹の植生になり印象が変わる。

紅葉は帯となって山肌に張り付き、紅葉はまさに降りてゆくんだなぁと理解した。

地獄沼は乳白色に染まり、湯気が風に吹かれ立ち上っておりました

奥入瀬渓流へと向かう途中、酸ヶ湯温泉を通り過ぎたけれど、後から千人風呂を知ったんだよ。
惜しい、入りたかったな。

奥入瀬手前にある蔦温泉は趣のある一軒宿だ。
幼い頃に泊まったことがある思い出の宿。
朝一で電話をしたけれど予約で一杯。ここは日帰り入浴(500円)で我慢。

新しく泉響の湯というのが出来ていたけれど、ここは昔ながらの久安の湯をチョイス。
ひば作りの背の高い湯小屋に湯気が立ち込める。いいねぇ。

浴槽の底、板張りの隙間から、時折ポロロンとあぶくとともに熱い湯が沸き上がってくる。
この温泉の源泉は、なんと浴槽の直下。生まれたてほやほやの源泉に浸かってうとうと。

奥入瀬渓流は言葉なんて要らないくらい美しかった。
紅葉には早かったものの、緑黄赤が織りなす自然美は芸術的ですらあり、絵はがきのようだ。

渓流随一の撮影ポイント、銚子大滝。
カメラマンがたくさん。遠方から足を伸ばしてでも来る理由がわかる。

子ノ口(ねのくち)脇にある売店のきりたんぽ(250円)

幼心にここのきりたんぽがおいしかった記憶があり、今回10数年振りに食べた。
香ばしく味噌が焼けて、うーんやっぱりおいしい!

片っ端から宿に電話して、国民宿舎とわだに投宿。
昭和にタイムスリップしてしまったような建物は、ちょっと何か出そうな感じ(笑)

続く。

2020年現在、国民宿舎とわだは廃業しているようです。

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