万緑の福島へ 前篇

変化の乏しい冗長な景色が、そう感じさせるのだろう。
東北道を福島まで走って、既にツーリングに満足気味だ。

だが、ここからが今回のツーリングの真骨頂。

ガソリンスタンドで期間限定の「観光有料道路3ラインセット券」を購入し
福島市街を抜けると、いよいよ待望の磐梯吾妻スカイラインが始まる。

スカイラインは、爽やかな林間の道を抜けどんどんと標高を上げてゆく。

老朽化により付け替えられた不動沢橋からの眺めは圧巻。
眼下には広大な福島盆地が広がる。

ここら辺りから、今までの景色とは打って変わり周囲が荒涼としてくる。

火山性の山ではお馴染みの

有毒ガスに注意

の看板が路肩に立ち始めると
そこが磐梯吾妻スカイラインの白眉、浄土平だ。

観光客で賑わう駐車場にバイクを停めると、目の前には秀麗な形をした吾妻小富士。
砂礫の登山道を登り切ると、火口をぐるりと一周するお鉢巡りができる。

ここから見下ろす浄土平は絶景だ。

浄土平に咲く県花、ネモトシャクナゲの妖精のお姫様をモチーフにした
福島県観光有料道路マスコットキャラクターのシャクリン。
花びら型のティアラを冠した、とても愛らしいキャラクターだ。

だがシャクナゲは、その全種がロードトキシン類などのアルカロイドを含み
量にもよるが、摂取すれば痙攣・嘔吐・呼吸困難を経て最悪の場合死に至る。

愛らしさの裏には毒。

表裏一体のキャラを設定する福島県のセンスに、がつんとやられた思いだ。

山の頂上だけあり、常に山肌を駆け抜ける風が強く吹いていた。
時に、立っているのも憚られるほど強い風が吹き、岩陰に隠れないと厳しい。

これから進む方向を俯瞰すると、浄土平湿原と呼ばれる湿原が広がっている。
木道が整備されており、20分で一周できる箱庭サイズの湿原だ。

五色沼中最大の毘沙門沼の畔には土産物屋が並び、観光客でごった返していた。

磐梯山ゴールドラインを進むうちに、目の前に猪苗代湖が姿を現した。

残念だけど時間がない。
会津若松の磐梯ソースかつ丼をパスし、磐越自動車道を浜通り方面へ。

今夜は、船引町で「灯籠流し&花火大会」が開催される。

花火大会や灯籠流しはこじんまりとしていたけれど、逆にそれが好印象。
想像していたより出店も人出も多く、地方の夏祭りといった趣に癒された。

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