水郷佐原 裏篇

江戸のむかし、利根川は東京湾に注いでいた。
徳川家康の時代、利根川を隣接の渡良瀬川に繋ぎ、その先をさらに鬼怒川水系に繋げることで
現在のように江戸(東京)を迂回し、銚子から太平洋に流れ出る流路が出来上がった。
この一大土木事業を利根川東遷事業と呼ぶ。

これにより、銚子から利根川を経て関宿から江戸川に入り江戸に到達する利根川水運が拓ける。
後年には、関宿を経ずに江戸川へ短絡する利根運河も開拓された。

利根川流域でも最も栄えたのが佐原であり、商家町が形成され大いに賑わった。
そしてもちろん、人の集まるところには色街が形成される。

観光客で賑わう伝統的建造物群保存地区が表側なら、色街の残り香を残すこちらは裏側だね。
ずいぶんと廃れてしまっているけれど、往時は相応の賑わいだったのだろう。

思いがけず古い建物に出会える路地歩きも、佐原ならでは。
まるで昭和の世界に迷い込んでしまったような雰囲気を残す柳湯もそのひとつ。

建物単体でみればそこまで古くないのだろうけれど
ここに至るエントランスを含めて熟成度が進んでおり、熟れた香りに眩暈を覚える。

令和の時代になっても、地元の方に愛されていることが窺える。

そう、こうやって当てどなく歩くのが楽しいのだ。
たまにはっとするような建築物や光景に出会える。

町歩きがあんまり楽しいものだから、すっかり日が暮れてしまった。
あの路地はどうなっているだろうか・・・

焼肉屋に中華料理屋、もつ焼き屋、居酒屋・・・
だいぶ店数は少なくなっているが、残った店は元気に営業を続けていた。

町並みにほろ酔い加減となり、よい気分で今日の締めに向かおう。

14年前に尋ねた金平浴場は、佇まいもそのままに今日も元気に営業を続けていた。
何だかとても嬉しいね。

千葉県の千葉県公衆浴場入浴料金を大幅に下回る入浴料300円を番台のおばちゃんに聞けば
地元の人が使ってるから値上げできなくて、と笑って答えてくれた。

石鹸20円を購入し、熱い熱いお湯にふーっと言いながら肩まで浸かる。
近頃スーパー銭湯ばかりで、昔ながらの銭湯の熱い湯は久しぶりだな、などと思いながら
湯あがりはお決まりの瓶のコーヒー牛乳で。

すっかり火照って帰路についたはいいものの
帰りのカブのツーリングで芯まで冷え切って、帰宅して再度風呂に浸かりました。

アクセス

柳湯

金平浴場

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