初日の昨日は移動に始終したけど、今日からいよいよ本番。
アルザス・ワイン街道に点在するコルマール近郊の村に訪れる。
疲れていたせいだろう。
昨晩はよく眠れ、すっきり目覚めることができた。
昨晩は暗くてほとんど解らなかった周りの景色。
これが、目覚めて窓から見たヨーロッパ。
時折小雨がパラつくあいにくの天気の中
ユースホステルから中心街がある駅の向こう側へ歩く。
街の匂いが違う
空気に、歴史の重みがある
そんな風に聞かされ、思い描いていたヨーロッパへの憧れを肯定させるものはなく
日本と、いつも暮らしている町と同じ、湿っぽい雨の匂いと自動車の音があった。
日本とは遠く離れていても、同じような日常がここにもあった。
そりゃそうよねぇ。
幻想かのように思っていた世界がごく普通の現実だということ。
逆にそれがひどく新鮮で、妙に納得した。
そしたら、知らない土地で感じていた緊張はだいぶ和らぎ
ずいぶんと親近感を以って、町を歩くことができるようになった。
ただ目に映る情景は、私を興奮させるのに充分で何もかもが新しかった。
予定ではレンタサイクルでエギスハイムまで行こうと思って
地図まで用意してきたのに、この天気じゃ諦めるしかないな。
とりあえず、今日泊まる宿に荷物を預けて身軽になろう。
雨も手伝い、ベール掛かったようにコントラストの低い町の色調、
鈍色の中に目を引くピンポイントカラー、建物の配色センスには感嘆してしまう。
コルマール駅前から出るエギスハイム行きのバスは極端に本数が少ない。
駅前に停まっていたタクシーに近づくと、恰幅のよすぎるおばちゃんが
まさに入れ物に収まるかのように運転席にすっぽり収まっていた(笑)
海外のタクシー=ボラれるという先入観から
駅の窓口で聞いた相場より少し安い金額で前交渉することにし、自然体を心掛けおばちゃんへ接近。
「エクスキュゼ・モア。エギスハイム・テン・ユーロ・シルブプレ?」
すごく残念な感じの仏語&英語で話し掛けると、すんなりとOK。
15分後に降り立ったエギスハイムの村は、朝早いこともあってまだ静かだ。
そして、エギスハイムと言えばこのカット。
衛星写真を見ると一目瞭然だが、この村は上から見ると円形をしていて
外側をぐるりと城壁のように家々が囲み、その間が周回道路になっている。
日本では浮いてしまうだろう奇抜な色づかいも、ここではまるでおとぎの世界。
赤のゼラニウムが町並に映える。窓辺に花を飾っている家が多い。
これで天気がよろしければ、さぞ素晴らしいことだろう。
こんなクリスマスのオーナメントが、村のあちこちに飾られていて
この瞬間も、住民が脚立を持ち出して家を飾り付けをしている。
今にも泣き出しそうな空から、遂に雨が降り始めた。
折り畳み傘を宿に忘れてきてしまったので、フードでやりすごす。
村の中心には広場があって、教会の建物を使ったレストランが目を引く。
広場に面して、雑貨屋やパン屋などが並ぶ。
この頃になると、さんざんぱら雨に打たれもうびしょ濡れ。
傘を求めて入った雑貨屋に傘は無く、客の忘れ物の傘を格安で譲って貰う。
もしかしたら、こちらにはビニル傘を都度買って壊れたら捨てるという発想自体が無いのかもしれない。
日本の使い捨て文化が特異なんだろう。
帰りもやっぱりバスはなく、コルマールまでタクシーを使った。
ノリのいいお兄さんが運転するプジョー207で、あっという間に駅に着く。
続く。
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