社会人生活とツーリング。
これらを共存させえるため、これからのツーリングのあるべきスタイルを模索すべく
今回は、日帰りツーリングの限界を把握するために、黒部ダムまで行ってみることにした。
かなり距離があるので、余裕を持って深夜2時半に自宅を出発。
夜の冷え込んだ空気の中、相模湖ICに向かって走っていると
これからツーリングが始まる適度な緊張感と高揚感を覚え心地がよい。
朝霞の中の甲府を抜けると、だんだんと空気があの香りに変わってきた。
涼やかな高原や森林の香り。フィトンチッドの香りだ。
豊科インターチェンジで長野道とサヨナラをし、ここからは高瀬川に沿って
爽快な快走路、北アルプスパノラマロードを北へと向かう。
眼前に雪を被った後立山連峰が壁のように立ちはだかってくると
まもなく立山黒部アルペンルートの長野県側起点、扇沢駅に到着だ。
予想より早く着いたので、関電トロリーバス(往復2500円)の始発までまだ30分ある。
登山客が多いと思ったら、今日は針ノ木岳の開山祭、針ノ木岳慎太郎祭があるようだ。
話を聞いたら、参加者で針ノ木雪渓を登るんだって。
トロリーバス始発便は人数もまばら。
ヒュ~ンというVVVFインバータの音を響かせながら、急勾配を軽快に登る。
しばらくすると、映画「黒部の太陽」にも描かれた関電トンネルに突入し
富山・長野県境手前で、80m掘るのに7ヶ月かかったという破砕帯を呆気なく通過。
トンネルを抜けると、視界に巨大な黒部ダムが飛び込んできた。
それにしてもスケールが大きい。堰堤上の人がまるっきり豆粒大に見える。
昭和史に残る壮絶な難工事だったくろよんの開発は、171名の殉職者を出した。
「尊きみはしらに捧ぐ」と書かれた慰霊碑が、ダム堰堤脇にひっそりと佇んでいる。
ケーブルカーやロープウェーに乗って室堂まで行きたくなるけれど、日帰りツーリングの途中だ。
後ろ髪を引かれる思いで泣く泣く引き返す。
トロリーバスで引き返す客は、ほとんどおらず自分を含めて2名だけ。
ここからは帰り道だけど、2時半に出発しているのでまだ午前9時!
いろいろ寄り道するよ。
まずは大王わさび農場、黒澤明監督「夢」の水車のある村のロケ地にもなった場所。
ほのかにわさびの風味がするソフトクリームは、涼しげな味だ。
次は、松本市郊外の岡田神社へ。
ちょっとした舞台もある、こじんまりとした神社だ。
このまま美ヶ原へ抜けビーナスラインへ、という王道は避けて、
三才山トンネルを抜け、鹿教湯温泉からほっそい峠道を越え、別所温泉へ。
信州の鎌倉とも言われる別所温泉は、鄙びたよい雰囲気だ。
時間が許せば、大湯、石湯などの外湯巡りをしたかったけれど今回は諦める。
白樺湖手前のお馴染み「利休庵」で、かき揚げ丼セット(1260円)を食べる。
自家栽培の新鮮な野菜のかき揚げは、久しぶりに食べることもあってとてもおいしい。
諏訪南ICから中央道に乗り、午後7時半に帰宅。
上野原からはずっと渋滞、疲れた。
結局、総走行距離は620.6キロ。
1日の走行距離の自己最高記録を塗り替えた。
教訓: 日帰りで黒部まで行けないことはないけれど、半端なく疲れ切るのでオススメできない。
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