親不知を抜けると、そこは青海。
青海といえばデンカ、電気化学工業株式会社青海工場だ。
一部の専用線ファンにお馴染みのこのカット。工場から採石場へと続く原石線。
こんな大規模な工場が山間の狭隘な場所にあるのに、違和感すら感じる。
青海工場で使用する電力を賄うために、周辺に散在する自社保有水力発電所と
専用送電線で結ばれているというから、ただただ驚くばかりだ。
間違いなく、鉱山、廃墟、プラント、専用線好きなら満足できるスポットだ。
この一帯はヒスイの産地でもあり、工場の少し上流には橋立ヒスイ峡という峡谷がある。
残念なことに、現在はほとんど採れないそう。
糸魚川からは、長野へ向けて糸魚川静岡構造線を駆け上がる。
国道148号線も並走する大糸線も、どうしてこんな所にというような峻険な谷間を
どこまでも続くスノーシェッドの連続で険しい断崖を回避しながら、進んでゆく。
そういえば、通り過ぎたダムはデンカのダムだったな。
南小谷(みなみおたり)駅は、JR東日本とJR西日本の会社境界駅だ。
東日本側は電化されているので、1日1本新宿からここまで特急あずさが乗り入れる。
都心から乗り換えすることなく特急列車でここまで来れるなんてファンタスティックだ。
大糸線はこの駅を境に北と南でガラリとその印象が変わり、直通列車も存在しない。
白馬の町を走っていると、山の斜面にある建築物を見つけてハンドルを切った。
白馬は、長野オリンピックのジャンプ競技会場だったね。
近づくとリフトが動いており、運賃(大人500円)を払えば登れるようだ。
登るに連れスタートタワーが迫ってきて、恐いほど迫力がある。
ラージヒルの連絡口になっている3階から、連絡通路を通りジャンプ台本体へ。
ところがこの通路が、足元がワイヤーメッシュで非常に高く、穴が開いたのか補修されている。
このワイヤーメッシュ、硬いと思いきや柔らかい。ぐにゃりとたわむのでとにかく恐い。
手すりに掴まりながら、端の鉄骨の上を情けない姿で伝い歩きようやく天辺へ。
え、こんな所から滑空するの?
帰りのくだりは、登りより恐い。
他人には見せられないような格好で階段を下りていたら、少年たちが走り上がってくるではないか。
醜態は晒すまいと、背筋を伸ばして軽快に階段を下った。
オリンピック道路で更埴に向かう。
信州新町のあたりは美しい日本の山里が残っており、機会があればぜひ数日滞在したいと思っている。
日が沈んだ後の匂いが何ともいえず好き。
風が運ぶ、地面から立ち上った太陽の残り香。
日も山の稜線へと沈み、まもなく夜が来る。
さて帰ろうか。
コメント