信州、鄙の湯へ

スーパーカブ110を、衝動買いしてしまいました。

買うつもりなんて全然なかったのに
リトルカブのブレーキワイヤーが渋くなったので、交換して貰いにバイク屋へ行ったら
原付二種を推されて気にもならなかったカブ110を気にし出し、頭から離れなくなった。

年齢的にもバイスブルーの限定リトルカブは目立ちすぎるなと思っていたので、後悔はしていない。

新しい足を手に入れたからには、どこまでも乗って行きたくなるのは当然の流れ。

久しぶりに父親を誘い出し、信州へと向かうことにした。
T-MAXに乗る父親には申し訳ないけれど、情け容赦のない全行程下道だ。

国道16号を八王子まで走破し、青梅から山を越え秩父へ。
長瀞からはまた山を越え、藤岡まで一気に。
そして、途中のこの「旧富岡製糸場」というわけだ。

案外ここまで近いな、という印象だが時間はしっかり経っていた。

1872年、欧米列強に対抗し殖産興業を推し進める明治政府により設立された
日本初の大規模製糸工場である富岡製糸場は
当時の建造物が、ほぼそのままの形で残る貴重な近代化遺産で
現在、世界遺産登録へ向け暫定リストにも掲載されている。

正直なところ、世界遺産は少々大仰だと思うな。

横川からは、いよいよ碓氷峠越えだ。

碓氷峠は一般的な峠と異なり、長野県側が台地になった片勾配の峠で
標高400m弱の群馬県側の横川から、標高1000m弱の軽井沢までを一気に駆け上がる。

長い長い旧道沿いには、お馴染みの眼鏡橋。
レンガ積みの、本当に美しい橋梁だ。

紅葉が始まった軽井沢を越え、小諸へ向かう。

島崎藤村の宿として知られる「中棚荘」は、千曲川を見下ろす高台にある。
今月号の雑誌「温泉博士」で、無料で立ち寄り湯を楽しむことができた。

浴室に入ると、まず湯船に浮かべたりんごのいい香りが漂ってきた。
外へ出ると、緑に囲まれた居心地のよい露天風呂がある。

ああ、気持ちいい・・・

改めて泊まってみたいと思える、雰囲気のいい宿だった。

遅めの昼食は、気になっていた上田の「刀屋」で蕎麦を。

もりそば普通盛(600円)

量がある上、食べ応えのある所謂田舎蕎麦で噛むごとに口の中に蕎麦の風味が広がり、これはうまい!
安くておいしくて量が多いときて、親子ともどもすっかりお気に入り。

今夜の宿がある「田沢温泉」に行く前に、同じ青木村の北に位置する
修那羅峠にあるという「修那羅石仏群」にちょっと寄り道することにした。

到着したのは、ちょうど日が落ち周りが暗くなり始めた頃。
石仏群がある神社までの道のりは、崖に張り付いた狭隘ダート。

徐々に怪しい様相を呈す道に、引き返す糸口を見出せないまま結局進んでしまったが
路面はぬかるみ、轍のような凹凸も激しく、何より狭いので崖側には足を付けない。

T-MAXで進んでしまった父親は、軽くトラウマになったと言っていた。
カブでも怖かったもんなぁ。

けっきょく石仏群まで到達せずに帰ってくるという体たらく。

満身創痍で本日の宿、田沢温泉「ますや旅館」に到着。

明治時代に建てられた立派な木造の建屋は、有形文化財に指定されているとのこと。
島崎藤村ゆかりの地だけはあり、この宿にも彼が宿泊した藤村の間があった。

このますや旅館のすぐ上には、公共温泉「有乳湯(うちゆ)」があり
温泉宿泊者は100円で利用することができる。

長く浸かっていられるゆるい湯が湯船から惜しげもなく溢れ出て
暖かい布団に包まれている感覚になり、寝てしまうほど気持ちいい。

部屋でとる夕飯には、鯉の洗いなどこの地方ならではの料理が並んだ。

高楼を見ながら熱燗でいい気分。

翌日は、ゆっくり山梨経由で帰った。
白樺湖のあたりも、木々がちょこちょこと色づき始めていたよ。

そういえば、カブ110の燃費。
ほとんど信号に捕まらず、理想的な速度で巡航していたせいか満タン法で70キロ。
とんだエコマシンだぜ。

たまには親と行くツーリングもいいものです。

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